プロジェクト概要
プライバシーマーク制度の統括機関である一般財団法人日本情報経済社会推進協会 JIPDECが提供する「事業者検索サービス」のリニューアルを担当させていただきました。
本プロジェクトでは「既存の高速検索体験を損なわないこと」「スマートフォンへの対応」「更新フローの大幅な改善」が大きなテーマとなりました。
背景と課題
従来システムは高速な検索性能を持っていた一方で、事業者情報の更新に多くの手作業が必要でした。業務システムからデータを出力し、ローカルで加工してからアップロードするプロセスは時間と労力を要し、運用コストやリスクの原因になっていました。
システムの老朽化が進んでいたことから、保守負担の軽減と効率的な運用体制の確立が求められており、加えてスマートフォンをはじめとする多様なデバイスへの対応も課題となっていました。
Kurocoを選定した理由
複数のアーキテクチャを比較検討、フィジビリティ確認した中で、Kurocoは次の点で優位性がありました。

- 高速検索パフォーマンス
大規模データを扱う検索でも極めて高速なレスポンスを実現可能で、既存サイトと同等、あるいはそれ以上の快適さを維持できる。
- API連携による自動更新
業務システムからのデータをAPI経由で連携し更新作業を完全自動化できる。
- フロントエンドデプロイの簡素化と高速化
CDNベースの静的コンテンツホスティングサービスのKurocoFrontを提供しているため、別途ホスティングサービスやCDNを契約・管理する手間が省け、インフラ管理に関する負担が大幅に軽減できる。
- Smartyによる柔軟な拡張性
KurocoはヘッドレスCMSの機能に加えて、Smartyを利用してAPIの動作をカスタマイズ可能なため、外部システムや各種ドメインとの連携処理を柔軟に組み込める。 検索結果の加工や独自の表示ロジックを簡潔に実装できる点は、バックエンド知見を持つ開発者にとってもメリットである。

Lambda、Cloudflare Workers、Edge Functionsのような任意のプログラムの実行環境はないのですが、このSmartyに豊富なプラグインが用意されており、APIを呼び出してJSONを保存したり、一般的なユースケースであれば十分に対応可能です。

スマートフォン用検索UIの開発
従来のPC環境でも元々、使いやすい検索性は確保できていました。 その操作性をスマートフォンで表現するためには、検索条件を切り替えるモーダル画面の出し方や操作動線の整理はユーザー体験を左右する重要な要素です。
これらを工夫しモバイル環境に最適化するとともに、Webアクセシビリティにも配慮し、スマートフォンからでも直感的かつ快適に利用できる検索UIを実現しました。
難易度の高い取り組みでしたが、結果的にPC・モバイル双方で一貫した利便性を提供することができたと思います。
成果と効果
初期に選定したアーキテクチャにて理想的な構築を達成することができました。
- ユーザー体験
高速検索を継続し、多数な事業者情報から瞬時に目的の情報を取得可能。 スマートフォンからも検索性の高いUIを構築。
- 運用効率
更新フローの自動化により、人手による作業やエラーのリスクを排除。
- 拡張性
Smartyを活用したカスタマイズにより、今後の機能拡張や外部連携にも柔軟に対応可能。


まとめ
今回のリニューアルでは、運用効率化と高速パフォーマンス維持という、今までではトレードオフになりがちな課題を両立することができました。
- 業務システムからAPI経由でKurocoに事業者情報が自動連携
- バッチ処理により、サイトの情報が定期的に最新の状態に更新
管理者は負担から解放され、利用者は引き続き快適な検索体験が可能になるという、サービス技術選定が成果に直結したプロジェクトになったと思います。
また、本プロジェクトはJIPDECのご担当者様による高い知見と、業務システムをご担当されたベンダー様の確かな技術力に支えられ、最後まで円滑かつで前向きに進行しました。
私たちにとっても非常に満足度の高いプロジェクトとなりました。