リベロジックのWebアクセシビリティツール第3弾として、Chrome拡張機能「やさしい日本語 & 読みやすさ診断」をリリースしました。
第1弾「Area Contrast Checker」、第2弾「A11y Navigation Auditor」が診断にフォーカスしたツールだったのに対し、今回は読む人と書く人の双方を支えます。
ページ上の難しい日本語をワンクリックでやさしく変換して読み手を助け、文章の難易度を客観的なスコアで可視化して書き手の文章づくりをサポートします。
開発の背景
Webアクセシビリティというと、コントラストやマークアップ、ARIAといった「技術的・構造的」な側面が注目されがちです。
しかし、いくら構造が正しく整っていても、肝心の文章そのものが難解であれば、情報は読み手に届きません。ニュースや行政文書の難しい日本語は、外国人・子ども・高齢者・日本語学習者にとって、依然として大きな壁になっています。
これはWCAGの読みやすさに関する達成基準(3.1.5 読解レベル / AAA)にも通じる、Webアクセシビリティの重要な観点です。
「やさしい日本語」とは
こうした壁を越えるための工夫が「やさしい日本語」です。
普段使っている言葉を、相手に配慮してわかりやすく言い換えた日本語のことで、短い文、わかりやすい言葉、ふりがな、分かち書きなどを基本とします。
きっかけは1995年の阪神・淡路大震災で、日本語に不慣れな外国人住民に災害情報が十分に届かなかった反省から生まれました。当初は災害時の情報伝達手段として使われていましたが、いまでは国や自治体も普及に取り組み、行政・生活・観光など、幅広い場面へ広がっています。
※「やさしい」という言葉には、易しい(かんたん)、優しい(おもいやり)の2つの意味が込められています。
どんなページでも読みやすく
ウェブサイトのやさしい日本語化を支援する仕組みは、すでにいくつか存在しますが、その多くは発信者(サイト運営者)が自社サイトに導入し、その閲覧者へ提供するクラウド型のサービスが中心です。
この形は発信側にとって心強い一方で、「導入済みのサイトでしか使えない」「利用には契約や費用が必要」という性質があります。目の前のニュースや行政ページを、読み手がその場で手軽に読みやすくしたい。そうしたニーズに、既存の仕組みは十分には応えきれていませんでした。
本拡張機能は、発信者ではなく「読み手」自身がブラウザに入れて使う形なので、対応・未対応を問わずどんなページでも、無料で使えます。あわせて、文章を作る「書き手」を支える読みやすさ診断も搭載しています。
オンデバイスで完結する、2つのコア機能
本拡張機能はChrome内蔵のオンデバイスAI「Gemini Nano」と、形態素解析エンジン「Kuromoji」を活用し、「変換」と「診断」という2つの軸をすべてブラウザ内(ローカル環境)で完結させます。
APIキーの取得もトークンコストも不要で、テキストが外部サーバーに送信されることは一切ありませんので、安心して何度でも使えます。
主な機能
やさしい日本語変換(読み手・学習者向け)
▪️AIで読みやすく
Chrome内蔵AIが、難しい文の分割や、硬い表現の言い換えを自動で行います。
▪️ルビ(ふりがな)を振る
Kuromojiによる形態素解析で、ページ上の漢字にふりがなを付与。対象レベルやサイズもカスタマイズ可能です。
▪️AIで要約
ページの内容を箇条書きで素早く要約。要約結果をさらにやさしい日本語にすることもできます。
▪️選択テキスト変換
気になる箇所だけをピンポイントで、やさしい日本語に変換できます。
読みやすさ診断(書き手・チェック向け)
▪️jReadabilityスコア
学術研究(Lee & Hasebe 2015)に基づく読みやすさスコアを算出。0.5(とてもむずかしい)〜6.4(とてもやさしい)の6段階で、難易度を客観的に評価します。
▪️やさしい日本語ガイドラインチェック
総文字数、平均文長(目安:40〜50文字以下)、漢字比率(目安:30%以下)を一覧で表示。
▪️問題箇所の視覚化
長すぎる文や難しい単語を色分けし、ページ上にハイライト表示。修正すべき箇所がひと目でわかります。
▪️選択テキスト分析
ページ全体だけでなく、選択した部分だけの分析も可能です。
その他の特徴
▪️完全無料・APIキー不要
オンデバイスAIを使用するため、面倒な設定もトークンコストもゼロ。使い放題です。
▪️完全オフライン・安心のプライバシー
AI処理を含め、すべての分析がブラウザ内で完結。ビジネスや公的文書のチェックにも安心してご利用いただけます。
▪️柔軟なカスタマイズ
OS設定に連動するダークモードに対応。ルビの対象レベルやサイズ、ウィンドウ位置なども自由に調整できます。
ご利用にあたって
AIによる書き換え・要約機能は、Google ChromeのオンデバイスAI「Gemini Nano」が有効な環境でご利用いただけます(端末スペックやバージョンによっては利用できない場合があります)。
なお、辞書ベースの表現置換・ルビ振り・読みやすさ診断は、AI機能を使わなくてもそのままご利用いただけます。
リベロジックでは、アクセシビリティを「特別な対応」ではなく「当たり前の品質」にすることを目指しています。
第1弾「Area Contrast Checker」、第2弾「A11y Navigation Auditor」がアクセシビリティの"技術・構造"を支えるツールだったのに対し、今回はその先にいる読み手と、文章を届ける書き手へと視野を広げました。
「正しく作る」だけでなく「ちゃんと伝わる」ところまで。私たちが現場で感じてきた課題を、また一つ形にしたツールです。
アクセシビリティをより身近に、よりスムーズに。次なるツールも準備中ですので、どうぞご期待ください。