全国の大学810校の公式サイトをアクセシビリティ実態調査、目立つ問題の種類は国立・公立・私立で異なる
全国の国立・公立・私立の大学812校を対象に、公式サイトのトップページに対するWebアクセシビリティの自動診断調査を実施しました。調査には、Webアクセシビリティ自動診断ツール「Lente Scan(レンテ スキャン)」を使用しています。
その結果、集計対象810校のうち803校(99.1%)のトップページで、自動診断によって判定できる範囲のアクセシビリティ上の問題が検出されました。1ページあたりの検出箇所は中央値38.5箇所、最も多い大学では1,351箇所でした。
問題が検出された大学の割合は、国立97.6%、公立98.0%、私立99.5%で、区分による差はほとんどありません。一方、達成基準ごとの検出率を設置区分別に見ると、目立つ問題の種類が区分によって異なることが分かりました。
調査結果の要点
- 国立大学は、画像の代替テキスト(alt属性)の未指定が多い。 1.1.1「非テキストコンテンツ」は、画像などの文字以外の情報に、同じ内容を伝える代替テキストが用意されているかを扱う達成基準です。この項目で問題が検出された大学は、国立51.8%、公立23.5%、私立33.2%でした。トップページの画像数は国立がとりわけ多いわけではなく、未指定の画像がある大学の中で見た未指定の割合にもほとんど差がありません。国立に多いのは「未指定の割合が高い大学」ではなく、「未指定が起きている大学の数」です。
- 私立大学は、リンクやUIの役割が支援技術に伝わらない問題が多い。 2.4.4「リンクの目的」は、リンクの遷移先や目的がリンクテキストなどから判別できるかを扱う達成基準です。読み上げられる名前を持たないリンクが検出された大学は、私立78.5%(国立67.1%、公立62.7%)でした。視覚的に隠されているのにキーボードのフォーカスが入ってしまう要素が検出された大学は私立22.0%で、国立10.6%、公立10.8%の2倍以上でした。カルーセル(自動で切り替わるスライド)やメガメニューなど、動きのあるUIで起こりやすい実装です。
- 区分を問わず最も多いのは「コントラスト不足」。 個別の検出項目で最も多かったのは、文字と背景のコントラスト不足で、810校中619校(76.4%)・のべ10,187箇所で検出されました。国立71.8%、公立70.6%、私立78.0%と区分による差は小さくなっています。なお、背景が画像やグラデーションの場合、自動診断では実際の背景色を確定できないため、76.4%という数字は自動診断で判定できた分に限られます。
本調査の限界
自動診断で判定できるのは、WCAG達成基準の3〜4割程度です。本調査の数字はその範囲に限られ、個別の大学サイトのアクセシビリティ全体を評価するものではありません。公表するのは全体の集計値のみで、大学ごとの診断結果は公表しません。残る領域や、自動診断だけでは判断できない項目については、人による確認が必要です。
調査方法
- 対象:文部科学省の関係機関リンク集に掲載された国立85・公立102・私立625の計812校の公式サイトトップページ(1ページのみ)。2校は対象サイトが自動アクセスを受け付けなかったため取得できず、集計対象は810校
- 実施日:2026年9月18〜19日
- 判定基準:WCAG 2.2 レベルAA
- 診断エンジン:axe-core 4.11.4、Lente Detect 1.6.5(PC相当1280px、スマートフォン相当320pxの両方で診断)
調査レポート
達成基準別・検出項目別の集計や調査条件など、調査結果の詳細は以下のレポートで公開しています。
https://www.liberogic.jp/survey/university/2026-09-19/report-public.html
本調査に使用した「Lente Scan」は、URLを入力するだけでWebアクセシビリティを自動診断できるツールです。登録不要・無料で、本調査と同じ診断エンジン・判定基準で自分のWebサイトを確認できます(無料版の診断はPC相当の画面幅のみ。スマートフォン相当の画面幅を含む診断はProプランで利用できます)。
https://lente-scan.liberogic.jp/
人による確認が必要な領域は、専門家による手動診断で
自動診断では判断できない領域について、IAAP認定ウェブアクセシビリティスペシャリスト(WAS)の保持者を中心とする体制で、Webアクセシビリティの手動診断サービスを提供しています。診断には自社開発の専用ワークスペース「Lente Audit(レンテ オーディット)」を使用し、指摘事項の共有、修正に関するやり取り、レポート発行までを一元的に行います。